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大会ルールと規則
Updated: Feb. 28, 2024
「ISI SLACKLINE JUDGING」は、最も公平で透明性があり客観的であることを追求したスラックライン大会を提供するための、スラックライナーによる、スラックライナーのためのスラックラインジャッジングシステムです。
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2024年度、個々のトリックスコアおよびルールについて大幅な変更が行われました。主な変更点は下記の通りとなっておりますので、該当する項目を熟読いただけますようお願いいたします。
●重複した同トリックのポイント減少について
→ 3.トリックのスコアについて → 3-1.同じトリックについて に明記。
●同名トリックのフロントフリップ、バックフリップのポイント統一について
→ 3.トリックのスコアについて → 3-3.フロントフリップ・バックフリップについて に明記
●Feet to Feet のポイント大幅増加
→ 3.トリックのスコアについて → 3-6.Feet to Feet系のトリックについて に明記
●Peruvian系トリックについて
→ 3.トリックのスコアについて → 3-5.スティーズについて に明記
●コンボに重複トリックが含まれる場合のコンボスコアについて
→ 4.コンボスコアについて→ 4-3.重複トリックが含まれるコンボについて に明記
1.大会形式について
【フォーマットについて】
ISIの大会にシード制はなく、対戦する選手はランダムな抽選によって割り当てられます。
(例:24名出場の大会の場合、ランダムな抽選によって最初の12試合の組み合わせと順序が決定されます。)
出場選手が奇数名の場合は、最後の試合の1名と第一試合を行った選手2名の内のいずれか1名が対戦します。ここで2回目の試合を行った選手のスコアは、HEAT2のスコアとしてカウントされます。
【試合内容について】
試合は1対1の対戦形式で行い、選手一人当たり90秒間の持ち時間が与えられ、トリックの難易度や正確性、コンボ数や繋ぎの難易度、幅・高さおよびスタイルに基づいて採点されます。
選手の持ち時間は、ライン上にいる間消費され、ラインアウト時は停止されます。90秒の持ち時間が終了するとブザーが鳴り終了を知らせますが、コンボの途中である場合を考慮し、さらに15秒間のボーナス時間が与えられます。
その15秒が終了するとさらにブザーが鳴り終了を知らせます。このブザー終了後に行われたトリックは採点の対象となりません。またコンボの途中でこのブザーが鳴った場合はコンボボーナスも与えられず、ブザーが鳴った時点までのトリックのみ(単発のトリックとして)採点されます。従って、コンボボーナスを獲得したい場合は、15秒ボーナス時間が終了するまでにコンボを終える必要があります。
各ラウンドにつき、1人2試合行い、より高得点の方をもとに次のラウンドに進む選手が決定されます。各選手のポイントは公開され、上位の選手が次のラウンドに進みます。仮に8名が決勝ラウンドに進むフォーマットで、8位以下の選手が同得点だった場合は、60秒間の延長戦を行い、より高得点を獲得した選手が通過となります。
最終ラウンドは8名で行い、予選ラウンドと同じ形式で1人2試合を行い、より高得点の方を自身の獲得ポイントとして1位から8位までの順位を決定します。
ラウンドの数は、選手数やイベント主催側からの利用時間、イベント日数などにより異なりますが、少なくとも2回のラウンドおよび各ラウンド1人2試合行います。
例)32名フォーマットの場合
ラウンド1 (予選ラウンド) |
ラウンド2 (セミファイナル) |
ラウンド3 (決勝ラウンド) |
32名 | 16名 | 8名 |
例)20名フォーマットの場合(※イベント日数が2日間で、施設利用可能時間が比較的長い場合。)
ラウンド1 (予選ラウンド) |
ラウンド2 (セミファイナル) |
ラウンド3 (決勝ラウンド) |
20名 | 16名 | 8名 |
例)20名フォーマットの場合(※イベント日数が1日限り、施設利用可能時間が比較的短い場合。)
ラウンド1 (予選ラウンド) |
ラウンド2 (決勝ラウンド) |
20名 | 8名 |
【ライン環境について】
ラインの地面またはマットから少なくとも48インチ(1.2192メートル)以上、アンカー間の長さは55フィート(16.764メートル)以上でなければなりません。
当システムを広く知ってもらい多くの大会やイベントなどで利用してもらう目的として、上記の大会形式に合わない大会、イベント(オンラインコンテストなど)で、ジャッジングシステムを利用することも可能です。
だだしその場合は、フォーマット形式および選手1人あたりの持ち時間、延長時間、ライン環境を変更する場合のみで、その他下記の2項以降のルールには準拠する必要があります。(※当システムがそれらに準拠した仕様となっているため)
(※ハイラインでのトリックには対応しておりません。)
2.採点方法について
各試合は、ライブおよび録画されたビデオによってISIの公認ジャッジによって採点されます。
少なくとも1名のジャッジが、総合的なパフォーマンス(Overall Performance)、振幅・高さ(Amplitude)、正確性(Cleanliness)を評価し採点します。(※「OPAC評価」という。)この評価はライブで試合を見ながら採点します。
(※「正確性(cleanliness)」は、2019年より自動計算され評価されるようになりました。「7.トリック全体の正確性について」を参照。)
次に、少なくとも2名のジャッジがスコアリングジャッジとして、個々のトリック、スティーズ、コンボ、およびダブなどを各選手のスコアシートに入力します。この評価は試合を録画したビデオによって採点します。
3.トリックのスコアについて
トリックスコア、技の向き、スイッチ、スティーズなどについて
ISIジャッジは、技の難易度と多様性、難易度の高い技同士のコンボなどを重視します。同じトリックを何度も繰り返したり、簡単な技でコンボを繋げても高得点は望めません。
同一ヒート内において、単発もしくはコンボに関わらず3回以上行われた同じトリックは、0ポイントとなります。
1試合(1Heat)の中で2回目に行われたトリックは基準点から-25%、3回目に行われたトリックは基準点から-50%され採点されます。2回目に行われた同一トリックは基準点から-50%され、3回以上行われた同一トリックは0点となります。(※1)
例)1試合内において、トリック:Butt Frontflip 180 to Butt(Misty Flip)(基準点:13.542ポイント)をn回繰り返した場合
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目以降 |
13.542pt (100%) |
6.771pt (50%) |
0pt (0%) |
0pt (0%) |
(※1)2024年度改訂
水平方向への動きがあるトリック(フロントサイド/バックサイド)に関しては、基準点は同じですが、別々のトリックと見なされます。従って、1試合内にフロントサイドとバックサイドの同じトリックを2回行っても減点の対象とはなりません。
例)FreeFall 360(基準点6.750pt)
1回目 | 2回目 |
f/s FreeFall 360 6.750pt (100%) |
b/s FreeFall 360 6.750pt (100%) |
b/s ・・・バックサイド
※当初、一部のトリックにおいてフロントサイドとバックサイドで違う点数のトリックがありましたが、2019年度に統一されました。これは近年、スラックラインの技がある程度確立されてきた中で、フロントサイドとバックサイドの難易度の違いは、"個々の選手の主観や好み"によるものが多いと判断したためです。
垂直方向への動きがあるトリック(フロントフリップ系/バックフリップ系)に関しては、別々のトリックと見なされます。従って、1試合内にフロントフリップとバックフリップの同じトリックを2回行っても減点の対象とはなりません。
(※1) これまでは、フロントフリップ系とバックフリップ系で違う点数でしたが、2024年度に統一され同じ基準点としました。これは近年、スラックラインの技がある程度確立されてきた中で、フロントフリップ系とバックフリップ系の難易度の違いは、"個々の選手の主観や好み"によるものが多いと判断したためです。
(※1)2024年度改訂
スイッチによるトリックが行われた場合は、そのトリックの基準点に25%のボーナスポイントが加算されます。
一般的に、「スイッチによるトリック」には下記の3つのパターンがあります。
1.開始技、終了技ともにスイッチスタンスだった場合。
2.開始技がレギュラースタンスで終了技がスイッチスタンスだった場合。
3.開始技がスイッチで、終了技がレギュラーだった場合。
ただスラックラインの場合、回転数が90、270、450、630、、、の技は自ずとスイッチトリックと言えます。ISIジャッジでは、これらの回転のトリックに関してはすでに基準点が設けられているため、ISIにおいてスイッチボーナスが加点されるのは、上記の1.の場合に限ります。2.または3.の場合は基準点のみで加点対象ではありません。
例)
Butt 270 to Chest (FakeFall 270) 基準点:5.014pt
Butt 360 to Chest (FreeFall 360) 基準点:6.750pt
開始技 | 終了技 | 得点 | |
1. | スイッチ | スイッチ | 8.438pt (25%up) (FreeFall 360) |
2. | レギュラー | スイッチ | 5.014pt (基準点のみ) (FakeFall 270) |
3. | スイッチ | レギュラー | 5.014pt (基準点のみ) (FakeFall 270) |
※「1.」の場合のみスイッチボーナスが付与されるように改訂されました。(2022/12/10 改訂)
※スイッチボーナスが付与されたトリックは、レギュラーで行われたトリックとは別のトリックとして扱われます。
【スイッチ判定について】
昨今、限りなく中心に近く片足をラインに掛けないチェストバウンスや、バットバウンスはレギュラーだけどスタティックは元々グーフィースタンスなど、各選手にとってもレギュラースタンスは個々のトリックでもマチマチです。
従いまして、スイッチかどうかの判定をするために必要な選手それぞれのトリックごとのレギュラースタンスの判定は、当日のジャッジの判断で決定するものとします。選手からの申告や異議申し立ては受け付けません。
トリックに「スティーズ(Steeze)」を加えると、基準点に加えてボーナスを獲得できます。
スティーズ(Steeze)とは、"Style(スタイル)"と"Ease(いとも簡単に)"を足した造語で、グラブや魅せ方のスタイルを指します。
そのグラブやスタイルの難易度に応じて、最大で1.5倍のボーナスを付与します。
例)Butt Backflip to Butt with a Squirrel Grab (基準点:6.288)
Steeze | Point |
Level1 | 6.917pt (110%) |
Level2 | 7.546pt (120%) |
Level3 | 8.174pt (130%) |
Level4 | 8.803pt (140%) |
Level5 | 9.432pt (150%) |
(※1)Peruvian系トリックについて
Peruvian系トリックをトリックリストから除外しました。これは昨今フロントフリップの回転時にラインをしっかり掴みハンドスタンド状態になってから回転する場合と、わずかに掴むだけの場合との区別が難しく、別トリックとして扱われるがゆえに行う傾向があったためです。また、チェストフリップというトリックが普及し、それはラインを掴んでも掴まなくても同じトリックとして扱われているためです。
従って今後は、「Butt Frontflip to Butt」と「Butt PeruvianFrontflip to Butt」は同一トリックして扱われ、仮にスタイリッシュにハンドスタンドを行ってから回転した場合はSteezeの対象とします。
(※1)2024年度改訂
(※)2024年度追加
昨今、ButtやChestバウンス系のトリックが主流となり、大会中に披露されるトリックのほとんどがそれらに占められるようになりました。Feet to Feet系のトリックは、スラックライン創成期からあるクールでスタイリッシュなトリックであるにもかかわらず、大会で披露するにはポイントに対するリスクが高いトリックとしてなかなか登場していないのが現状です。
ISIでは、Feet to Feet系のトリックをもっと行ってほしいという思いがあります。そこで、選手がリスクをかけてでも挑戦してもらえるように「Feet to Feet ボーナス」を設定する運びとなりました。
■Feet to Feet Bonus (F2F Bonus)
コンボの中でFeet to Feet系のトリックを成功させた場合に限り、基準点×2倍(+200%)のポイントが加算されます。
例)
1.Butt Backflip to Feet (基準点:12.558Pt)
↓
2.Feet Frontflip to Feet (基準点:17.738 x 2 = 35.476Pt)
↓
3.Feet 360 to Butt (基準点:7.112Pt)
※ボーナス対象はコンボの中でメイクした場合のみです。
※ボーナス対象は、Feetで始まりFeetで終わるトリックに限ります。
4.コンボスコアについて
Combo Scoring
コンボを成功させることは、高いレベルの技の精度や習熟度が問われます。従ってISIではコンボに対し個々のトリックポイントに加えてコンボスコアを付与します。
コンボと判断された連続トリックに対し、コンボ数、前後の技の難易度に応じて、連続トリックの合計ポイントにボーナスが加えられます。
ISIでは、各トリックに対して、トリックスコアとは別に独自の計算により「トリック難易度」を算出し、そのポイントをもとにコンボの前後の技に応じて「コンボ難易度」を評価し、「コンボスコア」を算出しています。これらはすべて自動で計算されます。最大限のコンボボーナスを獲得するには、より難易度の高い技同士をより長く繋ぐ必要があります。
例)ノーコンボの場合
トリック名 | トリックスコア | コンボスコア |
Butt 360 to Chest (b/s) | 6.750pt | 0pt |
Chest 360 to Chest (f/s) | 9.042pt | 0pt |
Chest Spiral to Chest (b/s) | 11.564pt | 0pt |
Chest 360 to Butt (f/s) | 5.712pt | 0pt |
Butt Frontflip to Butt | 6.288pt | 0pt |
合計 | 39.356pt | 0pt |
最終スコア | 39.356pt |
例)コンボの場合
トリック名 | トリックスコア | コンボスコア |
Butt 360 to Chest (b/s) | 6.750pt | 2.403pt |
Chest 360 to Chest (f/s) | 9.042pt | 3.897pt |
Chest Spiral to Chest (b/s) | 11.564pt | 4.792pt |
Chest 360 to Butt (f/s) | 5.712pt | 2.447pt |
Butt Frontflip to Butt | 6.288pt | 2.128pt |
合計 | 39.356pt | 15.667pt |
最終スコア | 55.023pt |
例)コンボでかつ間の技の難易度を上げた場合
トリック名 | トリックスコア | コンボスコア |
Butt 360 to Chest (b/s) | 6.750pt | 2.403pt |
Chest 360 to Chest (f/s) | 9.042pt | 4.327pt |
Chest Double Spiral to Chest (b/s) | 31.372pt | 13.001pt |
Chest 360 to Butt (f/s) | 5.712pt | 2.718pt |
Butt Frontflip to Butt | 6.288pt | 2.128pt |
合計 | 59.164pt | 24.577pt |
最終スコア | 83.741pt |
例)コンボでかつ最初の技の難易度を上げた場合
トリック名 | トリックスコア | コンボスコア |
Butt 720 to Chest (b/s) | 20.874pt | 7.432pt |
Chest 360 to Chest (f/s) | 9.042pt | 4.341pt |
Chest Spiral to Chest (b/s) | 11.564pt | 4.792pt |
Chest 360 to Butt (f/s) | 5.712pt | 2.447pt |
Butt Frontflip to Butt | 6.288pt | 2.128pt |
合計 | 53.480pt | 21.14pt |
最終スコア | 74.620pt |
コンボスコアとは、トリック単体はもちろん、より難易度の高いトリック同士で繋いだ方がボーナス率が上がります。
コンボスコアは、そのコンボの繋ぎの数に対しても最大で25%upのボーナスが加点されます。
ISIでは、本システムを立ち上げた当初から、「高難易度でより多くの種類のトリックを繋ぎ、幅・高さを使い、正確性の高いパフォーマンス」が正当に評価されるべきであるという信念に基づいています。
これを実現するために、下記の評価基準を設けることで、選手の点数稼ぎのためだけのコンボを未然に防ぎます。
・コンボボーナスの対象は30コンボまで。
・20コンボ以上のボーナスの増分はなしで一定。
・1試合内で行われた同じトリックを繰り返すことで減点対象。
・大会内で行われた同じコンボも同様に減点対象。
・コンボの最後が失敗で終わった場合はノーコンボ。
・コンボに重複トリックが含まれる場合は増分減少。(※2024年度改訂)
コンボ数 | コンボ数ボーナス |
1 | 0% |
2 | 1% |
3 | 3% |
4 | 6% |
5 | 10% |
6 | 13% |
7 | 15% |
8 | 17% |
9 | 19% |
10 | 20% |
11 | 20.9% |
12 | 21.7% |
13 | 22.4% |
14 | 23% |
15 | 23.5% |
16 | 24% |
17 | 24.4% |
18 | 24.7% |
19 | 24.9% |
20 | 25% |
21 | 25% |
22 | 25% |
23 | 25% |
24 | 25% |
25 | 25% |
26 | 25% |
27 | 25% |
28 | 25% |
29 | 25% |
30 | 25% |
31以降 | 0%から次のコンボとしてカウント |
コンボとして判定されるためには、下記の条件を満たす必要があります。
・途中で停止することなく、トリックを連続して繋ぐこと。
・コンボの最後のトリックが、-50%対象のダビング以内の成功技で終えること。
・15秒延長ボーナス時間内にコンボを終了すること。
(※)
・コンボの間に、次の技への移行のためだけに行われたバットバウンスやチェストバウンスが入っていないこと。
特に、ISIジャッジでは、”コンボの最後のトリックが失敗に終わった場合”はコンボの対象となりません。ISIは、”コンボは高いスキルと習熟度が要求される難易度の高い技術”であると評価しています。そのため、「コンボ」と判断されたトリックには、「コンボスコア」、「コンボバラエティーボーナス」といった加点があります。
ISIでは、長い連続技を入力した後にそれがコンボであるか否かを判定できる仕組みがあります。また1試合内でのトリック繰り返し数のカウントに加え、1大会内で繰り返されたコンボ数も自動カウントされる仕組みを組み込んでいます。それは、"より難易度の高い正確な技を行い、難しい技同士を繋いだコンボが正しく評価されるべき”であるということを信念に持ち、それに基づいて本ジャッジシステムを構築しているからです。
【コンボ判定】
← 90秒間 → | ←15秒延長→ | 終了 | コンボ判定 | ||||||
A→ | B→ | C→ | D→ | E→ | Feet | Combo! | |||
A→ | B→ | C→ | D→ | Failure | Not Combo! | ||||
A→ | B→ | C→ | D→ | E→ | Feet | Combo! | |||
A→ | B→ | C→ | D→ | E→ | Feet | Not Combo! |
※15秒延長時間は本来、"90秒終了時点でコンボ途中であった場合を考慮したサービス時間"です。従って、15秒延長時間も終了しているのにコンボ途中であった場合は、ノーコンボとなります。選手は90秒終了ブザーおよび15秒終了時間を注視してパフォーマンスする必要があります。
(※2024/2/28追加改訂)
これまでは、あるコンボの中にそのヒート内で重複した同一トリックが含まれていた場合、個々のトリックスコアの減点はあったものの、コンボスコアはそのトリックの基準点をもとに計算されていたためそのまま加算されていました。
2024年度からは、重複トリックに対してより厳格に対応するため、コンボ内に重複トリックが含まれる場合は、その減点後のトリックスコアをもとにコンボスコアを計算します。
例)そのヒート内で、すでに下記のトリックが使用されていた場合
●Chest 360 to Chest → すでに1回使用
●Chest 360 to Butt → すでに2回使用
●これまでのコンボスコア
トリック名 | トリックスコア | コンボスコア |
Butt 360 to Chest (b/s) | 6.750pt | 2.403pt |
Chest 360 to Chest (f/s)※2回目 | 4.521pt | 3.897pt |
Chest Spiral to Chest (b/s) | 11.564pt | 4.792pt |
Chest 360 to Butt (f/s)※3回目 | 0pt | 2.447pt |
Butt Frontflip to Butt | 6.288pt | 2.128pt |
合計 | 29.123pt | 15.667pt |
最終スコア | 44.79pt |
●2024年度からのコンボスコア(コンボに重複トリックが含まれる場合)
トリック名 | トリックスコア | コンボスコア |
Butt 360 to Chest (b/s) | 6.750pt | 2.229pt |
Chest 360 to Chest (f/s)※2回目 | 4.521pt | 1.948pt |
Chest Spiral to Chest (b/s) | 11.564pt | 3.819pt |
Chest 360 to Butt (f/s)※3回目 | 0pt | 0pt |
Butt Frontflip to Butt | 6.288pt | 1.761pt |
合計 | 29.123pt | 9.758pt |
最終スコア | 38.881pt |
しかし、この改訂によって選手にとって良い評価もあります。
●コンボにSteezeなどの加点トリックが含まれていた場合
トリック名 | トリックスコア | コンボスコア |
Butt 360 to Chest (b/s)※Steeze120% | 8.100pt | 2.403pt → 2.884pt |
Chest 360 to Chest (f/s) | 9.042pt | 3.897pt → 3.961pt |
Chest Spiral to Chest (b/s) | 11.564pt | 4.792pt |
Chest 360 to Butt (f/s) | 5.712pt | 2.447pt |
Butt Frontflip to Butt | 6.288pt | 2.128pt |
合計 | 39.356pt | 15.667pt |
最終スコア | 56.918pt |
5.ダブ減点について
Dab Deductions
ダブとは、技を成功させるために下記のような"成功を補う行為"を指します。
a.手や足その他体の一部を使って、地面またはマットを利用してラインに復帰する行為。
b.故意ではないが、地面またはマットに体の一部があたり勢いが止まってしまう場合。
c.復帰のためのスティッキーをする行為。
d.トリックの後に、勢いを増幅させるためのバットバウンスやチェストバウンスを繰り返す行為。
e.トリックの終わりが不安定で、ライン上にとどまることができずすぐにラインアウトした場合。
上記の場合ペナルティとなり、各トリックが行われた後に、ジャッジはそのトリックが成功か失敗かダブ有りの成功かを判定し、ダブの場合は各トリックのポイントから50%または80%の減点が適用されます。
-50% 対象のダブ
(限りなく成功に近いダブ)
例)トリックを成功させるためライン上にとどまるために体の一部を使って軽く地面を使ったり、故意ではないが地面に当たってバウンスの勢いが止まってしまったり、勢いがなくなり次のトリックに行くためにスティッキーをしたりした場合に50%のマイナスが課せられます。
-80% 対象のダブ
(限りなく失敗に近いダブ)
例)トリックを無理に成功させるために、体の複数の部分を使ったり、2ステップ以上使ってライン上に復帰したり、勢いが止っているのに複数回スティッキーを繰り返したりした場合に80%のマイナスが課せられます。
ただ、この「-80%対象のダブ」評価は、ニュートリックへの挑戦などのかなり難易度の高い技を挑戦した場合など、かなり特別な場合でない限り評価されることはないでしょう。つまりこの場合のほとんどが、そのトリックは”失敗”と判断されると思われます。
またこのー80%対象のダブがコンボの最後に行われた場合は、コンボボーナスは付与されず個々のトリックポイントのみ追加されます。
当然ながらコンボの途中であっても、それまでのコンボはコンボボーナスの対象となりません。
※明らかな失敗と思われるトリックに関しては、ダブの対象にはならず、そのトリックは0ポイントです。
※失敗と判断されたトリックは、スコアシートにも記載されません。
6.全体的なパフォーマンスと幅・高さの評価について
Overall Performance & Amplitude Scoring
全体的なパフォーマンス(Overrall Performance)と幅・高さ(Amplitude)の評価は、いずれも「1試合を通しての全体のパフォーマンス」に対して評価されるポイントです。(※OPAジャッジといいます。)
全体的なパフォーマンス(Overrall Performance) スコア
このカテゴリでは、トリックのバリエーションの多さや、個々の採点の対象とはならないが高い演技のパフォーマンス(例:バットバウンスやチェストバウンスでのグラブ、スイッチ技を取り入れたコンボ構成、ラインマウントやダイナミックなラインアウトなど)を評価します。
1-10の最大10%分のボーナスが与えられ、トリックスコアの合計点に乗算されます。
幅・高さ(Amplitude)スコア
このカテゴリでは、幅を使ったパフォーマンスや高さのあるトリックに注目し評価します。これは個々のトリックに対しての評価ではなく、1試合を通しての全体的な幅・高さを評価します。
つまり、大きな振幅のトリックが多いほど高いボーナスが得られ、全体的に振幅の少ない技が多いほど低い評価となります。
こちらの1-10の最大10%分のボーナスが与えられ、トリックスコアの合計に乗算されます。
例)Total Trick Sequence Scoreの合計スコアが500点だった場合
Total Trick Sequence Score | 500 | 500 |
Overall Performance | 8% (+40pt) |
4% (+20pt) |
Amplitude | 7% (+35pt) |
3% (+15pt) |
Final Score | 575pt | 535pt |
この2つの評価は、選手が自身のスコアを上げるために、とても重要なポイントになります。上記の表からもわかるように、同じ技を行っても全体的なパフォーマンスや振幅・高さの評価の違いで合計ポイントは大きく異なってきます。
ジャッジは、録画したビデオで各トリックのスコアを入力し、OPAジャッジはライブでその評価を行い、最終スコアシートに入力します。
7.トリックの全体的な正確性について
Cleanliness
「トリックの全体的な正確性(Cleanliness)」は、Overall Performance、Amplitude Scoreのように最終スコアから減点される評価の一つです。
こちらは、1試合を通してのダブの数の割合に応じて、トリックスコアから減点されるスコアです。-50%対象のダブを「-1」、-80%対象のダブを「-1.5」として、トータルトリックスコアから最大で-50%の減点となります。
例)
Total Trick Sequence Scoreの合計スコアが500点だった場合で、
1Heat内で行った総トリック数が50で、内-50%ダブが10回、-80%ダブが2回だった場合
Total Trick Sequence Score | 500 | 500 |
-50%ダビング数 | 10回 (10pt) |
0回 (0pt) |
-80%ダビング数 | 2回 (2*1.5=3pt) |
0回 (0pt) |
総トリック数 | 50 | 50 |
Cleanliness | -8.667% ((10+3)/50/3) |
0% |
Final Score | 456.667pt (-43.333pt) |
500pt |
8.トリックバラエティーボーナス
Trick Variety Bonus
「トリックバラエティーボーナス(Trick Variety Bonus)」は、Overall Performance、Amplitude Scoreのように最終スコアに加点される評価の一つです。
こちらは、1試合中に行われた重複のないトリックの数に対して4.25ptを乗算したものが、ボーナスポイントに加算されます。
例)Total Trick Sequence Scoreの合計スコアが500点だった場合で、1試合に行った総トリック数が50個で、そのうち重複していないトリックが20個または5個だった場合。
Total Trick Sequence Score | 500 | 500 |
ユニークトリック数 | 20 | 5 |
Trick Variety Bonus | 85 (4.25*20) |
21.25 (4.25*5) |
Final Score | 585pt | 521.25pt |
こちらの表からもわかるように、たとえ高得点のトリックでも、同じ技を繰り返すよりも、よりバラエティに富んだ違う技を行う方がより高いボーナスを得ることができます。
9.コンボバラエティーボーナス
Combo Variety Bonus
「コンボバラエティーボーナス(Trick Variety Bonus)」は、Overall Performance、Amplitude Scoreのように最終スコアに加点される評価の一つです。
こちらは、すべての試合、すべてのラウンド、大会全体を通して行われた重複のないコンボの割合に対して最大で25%10%(2022/09/21 改訂)のボーナスポイントが加算されます。
例)Total Trick Sequence Scoreの合計スコアが500点だった場合で、大会を通して行ったコンボが30個で、そのうち重複していないコンボが21個または6個だった場合。
Total Trick Sequence Score | 500 | 500 |
ユニークコンボ数の割合 | 21/30 (70%) |
6/30 (20%) |
Combo Variety Bonus | 87.5 (500*0.7*0.25) |
25 (500*0.2*0.25) |
Final Score | 587.5pt | 525pt |
こちらの表からもわかるように、異なるコンボを行うことでより高いボーナスが得られます。
※たとえ似たようなコンボでも、コンボの前後、または途中に1つ技を加えるとそれは違うコンボと見なされます。
10.バックバウンスについて
バックバウンス(Back Bounce)とは、背中のみでバウンスするトリックです。 (例: Back Bounce, Baximus, Backtastic, Estonian Backflip, Frog Flip to Back Bounce)
バックバウンスが成功と見なされ加点されるには、その後にバットバウンスやチェストバウンス、フィートなどで終わる必要があります。従って、バックバウンスの後にラインアウトした場合は、加点対象となりません。
またバックバウンスを含めたコンボにするには、スコアリストにあるトリックを行うか、バックバウンスからバットバウンスやチェストバウンス、フィートしてから次のトリックを行ってもコンボと対象となります。
例)
[Estonian Backflip + Backtastic]
>>> Standing Backflip to Back Bounce to Front Flip to Butt Bounce
[Estonian Backflip + Flat Spin 360 FS (Mojo Flat 360 FS)]
>>> Standing Backflip to Back Bounce to Chest Bounce to Flat Spin 360 to Chest Bounce
(※この場合もコンボの対象となるのが特徴です。)
[Frog Flip to Back Bounce (Brazilian Ascension to Back Bounce) + Cali Roll]
>>> Chest Bounce to Backflip to Back Bounce to Back Flip to Chest Bounce
11.スタティックトリックについて
スタティックトリックとは、通常バウンスをせず体の一部がラインから離れないバランス系の技(例:ブッダ、ダブルドロップニー、フットプラントなど)を指します。
スタティックトリックの基準点は低いかもしれませんが、前述の「7.トリックバラエティボーナス(Trick Variety Bonus)」を獲得するためにはとても有効です。(1試合内に行ったユニークなトリック数に4.25を乗算したものがボーナスとなるため。)
またスタティックトリックをバウンスで行うことでEX-Staticと見なされ、コンボとして組み込むこともできます。スタティックトリックがコンボとして評価されるためには、長時間の停止がなく、その後にバットバウンスやチェストバウンス、フィートで分割されない限り有効です。
12.エアートリックについて
「エアートリック(Air Trick)」とは、ライン上に立った状態から始まり、空中で様々な種類のグラブやスタイルを行いフィートで着地する技を指します。
こちらは、その難易度やジャンプの幅・高さ、グラブのスタイルなどに基づいて5段階で評価され採点されます。
Trick Name | スコア | 難易度 |
Air Trick 1 | 3pt | 低 |
Air Trick 2 | 5pt | ↓ |
Air Trick 3 | 10pt | ↓ |
Air Trick 4 | 15pt | ↓ |
Air Trick 5 | 20pt | 高 |
※こちらは「3-6.Feet to Feet系のトリックについて」に記載の「F2F Bonus」対象のトリックとなります。(※2024年度改訂)
13.ニュートリックボーナスについて
「ニュートリックボーナス」とは、これまで行われたISI公認の大会において一度も行われたことがなく、今大会で初めて行われた場合に付与されるボーナスです。
そのトリックが、トリックリストにないトリックであった場合は、その場でISIのジャッジによりまず基準点を決定します。その後、その技が初めて実行された時点で30%の加点を行います。(※スティーズ30%ボーナスとして加点)
ただし、これは一度限りのボーナスであり、その大会中に2回目以降に行われた場合や、他の選手が行った場合、また今後別の大会で行われた場合も含めボーナスの対象とはなりません。
14.最終スコアについて
最終スコアは、前述のすべての評価および実行されたすべてのトリックの入力(※ダビング、スティーズ、スイッチ、コンボなど)を行うと、システム上で自動的に計算され算出されます。
このスコアをもとに、各ラウンドのHeat1、Heat2のベストスコアで順位を決定します。また、大会の順位とは無関係に、その年行われたすべての大会および、予選、決勝ラウンドすべてを含めたベストスコアを「年間ランキング (ISI Best Round Scores)」として表彰します。
※ただし、オンラインコンテスト(OTC)は年間ランキングの対象外となります。
特記事項
上記の例として示されているトリックスコアやコンボスコア、その他ポイントは、2024年2月現在のものであり、変更されている可能性があります。最新のスコアはスコアページをご覧ください。